イラク日本人人質殺害

人質になっていた香田証生さんの遺体が発見されましたね。まだ24歳の若さで……生きながら首を切断されて死ぬなんて……。

しかし解放に向けての世論は全く盛り上がりませんでしたねー。ちょっと哀れなぐらいそっけなかった。もちろん新潟中越地震と重なったせいもあると思いますが。

報道によると、自分探しの旅でイラクに入ったとか、周りの人が止めるのにも関わらず入国したとか、イスラム世界には珍しい半ズボンで入ったらしいとか、気が立ちやすいラマダン(断食月)に入ったとか、前の滞在先がイスラエルだったとか……、おいおいおいっていうツッコミどころ満載で、まあ、はっきり言ってあきれられるのもしょうがない心構えですな。

犯行グループが道理も何も通じない過激な組織だと報道されて、最初からこれはもーダメでしょってムードが漂ってたし。
しかしどんな向う見ずな若者が引き起した事態でも、これが4月に日本人の人質事件が起きてなければもうちょっと世論が盛り上がったと思うんですけど。あの件で自己責任論を始めとする議論がぶわーっと巻き起こって話題になったことで、大抵の世間の人はもう自分なりの考えが固まってますからねー。

しかも前の人質事件の人質はボランティアや報道を目的にした確固とした意志をもってイラクに滞在していた人達だからなー。自己責任論に否定的だった人も、「彼らは確かに無謀だったかもしれないが、イラクを少しでもよくしようという崇高な意志を持っていたんだ」みたいな論調が多く見られましたもんね。しかし今回殺害された香田さんは何をしに行ったのかさっぱりわからない……

私自身も正直あんまり親身に考えられなかったですね。私の周りも何考えてるのかねー?みたいな突き放した反応が多かったし。もちろん殺されたのはかわいそうだと思いますが。これだけ危ない言われてたくさん殺害されてるのに、なんでわざわざ?外国にいたって情報くらい手に入るだろうし。

しかしなぜ彼が殺されなければならなかったのかと考えると、無謀だった、無知だった、軽率だったって言葉では片付けられないな、と思います。
世界で起きていることをこの目で直接見たい、という好奇心にあふれる若者だっただけで、殺されるいわれは全くないのに。今のイラクの状況が変なんですよね。

おばあちゃんの介護を一生懸命やっていたとか、心の優しい人間だったとか、今はほんの少ししか報道されていないけれど、私は彼の人間性を伝える報道がもっと見たいと思います。今は彼の無謀な側面ばかりクローズアップされてしまっているけど、それだけじゃない彼の人間性を知った時、きっと日本中の人が心の底から悲しむことができると思うから。