亡国のイージス

講談社。ただいま大ブレイク中の福井晴敏の著作。このブレイクっぷりはすごいですね。映画が立て続けに3本も公開されるなんて!時代の空気にもあったのだろうなあ。

亡国のイージス』は活字倶楽部2001年夏号を見た時からずーっと読んでみたいと思っていました。(活字倶楽部雑草社から発行されている本や作家を紹介する雑誌。ラインナップは割合に女性向けな感じで結構マニアック。)だって「少年とおっさん三部作」って呼んでるって福井さん本人がインタビューで言ってるんだもん(笑)少年とおっさん三部作……なんて甘美な響き(笑)

きっかけがなくずるずると先延ばしにしてたんですが、今夏に映画が公開されると聞いてとうとう読んでみました。少年とおっさん三部作の名に恥じない作品でした(笑)もっと早く読めばよかった!

少年、如月行の人物造形が秀逸。クールで無口で激強くて他人を寄せ付けないバリアをバシーンとはってるんだけど、実はその裏側に繊細な心と純粋さを持っていて。またおっさんの仙石がいい男なんだ〜。不器用な二人の心の交流にきゅーんとしちゃいました。

国防とか自衛隊とか、普段全然意識していないし正直あまり関心ないですが、この作品読むとすごく考えさせられます。日本はどう進んで行くんだろう?どうするのがベストなのだろう?って。

特に今は国連の常任理事国入り目指していたり、憲法九条改正論議もありますよね。九条を改正しないまま常任理事国入りしてもいいのかとか。個人的には九条が改正されるとどんどんなしくずしになっちゃいそうで恐い。九条は守ったまま道を模索できないものかと思います。

なんて普段考えもしないことをちょこっと考えようって気になったりする作品です。福井さん自身の考えもかすかに伝わってきますが、決して押しつける感じではないので意見が違う人が読んでも不快になることはないはず。自分の主張が強く出ないよう気をつけてるんだと思うけど。

初めて読んだ福井晴敏作品は実はターンAガンダムのノベライズ。偏見ですがアニメのノベライズなんて程度が知れてるわ〜って感じでいつもは全く食指が動かないんですが、とてもいい!と薦められて読んだら本当によかった。
次は『終戦のローレライ』。映画化にあわせて文庫も出ましたがこの本、単行本の装丁がむちゃくちゃきれいなの♪話ももちろんよいですし。映画は見にいかなかったけどいつか見てみようと思います。

少年とおっさん三部作の他2作は『川の深さは』と『Twelve Y.O.』。先に出たのは『Twelve Y.O.』ですが、福井さんによるとどうも『川の深さは』を先に読んだ方がよさげです。早く読まなきゃ♪

ちなみに少年とおっさんというキーワードにときめく人は我孫子武丸の『腐蝕の街』『屍蝋の街』(双葉社)も必読です。